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常滑の矯正歯科 久野歯科医院 ≫ 久野歯科医院コラム
常滑市の歯医者、久野歯科医院です。
皆様に役に立つ歯科の情報をおとどけします。
今まで当コラムで歯周病と全身の疾患との関係について
お知らせしてきました。
そもそも、歯周病とはどんな病気なのでしょう。
ここでもう一度復習しておきましょう。
歯肉が腫れる歯肉炎に始まり、炎症が進むと歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が
次第に深くなり、歯の周りの歯を支えている骨が溶け始め(骨吸収)、歯周炎となります。
そのまま放置しておくとやがて歯を抜かなければならない段階まで進行します。
初期の歯肉炎を含めると、30歳前後で国民の79%、40歳前後で84%、
50歳前後では実に88%が歯周病にかかっています。
歯周病は、ほとんど自覚症状がなく進行し慢性炎症により歯ぐきが腫れたり触れると出血します。
進行すると歯の根の部分の歯肉が下がり歯が長くなったように見えます。
歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなりその部分から出血、排膿をくりかえします。
歯が動き始めたり急に歯ぐきが腫れたりして異常に気づいたときには
重症になっていることが多くみられます。最終的には歯が抜けてしまいます。
夫婦間感染、親子感染の可能性も十分にありえます。
感染症ではありますが発症には歯周病菌だけでなく、
生活習慣や体質、ストレス、遺伝的因子などが複雑に関係しています。
糖尿病などとともに生活習慣病であると位置づけられています。
私たちの口の中には900種類の細菌が住んでいます(口腔内常在菌)。
ほとんど問題のない常在菌なのですが、
その中から歯周病の原因菌であろうと疑いのある細菌がみつかっています。
そのなかで特に悪さを働くのは
グラム陰性細菌のポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg菌)
タントネレラ・フォーサイセンシス(Tf菌)
トレポネーマ・デンティコーラ(Td菌)
の3種です。
この3種の歯周病菌を
「レッドコンプレックス」と呼び
細菌検査でレッドコンプレックスが検出されれば注意が必要です。
歯垢(プラーク)を採取して顕微鏡で観察すると
歯周病菌が含まれた多くの口腔内常在菌が確認できます。
数的にも量的にも多くの歯を削ることは絶対に慎まなければなりません。
歯周病菌の種類が特定できれば
胃潰瘍や胃炎を引き起こすピロリ菌と同様に
歯周病菌も除菌することが可能であると考えます。
今のところ、患者様の歯垢を取って歯周病菌を特定する検査は保険適応ではありません。
早い保険診療への適用が望まれます。
健康や歯の健康づくりの共通の要因には
食事、ストレス、生活管理、衛生、煙草、飲酒、運動があげられます。
この要因が、肥満、メタボリック=シンドロームや糖尿病、がん、
循環器疾患、歯周病に影響を及ぼし、共通の生活習慣リスクとなります。
歯周病は静かに進行する病気(Silent Disease)で
多くの人が感染している病気(Social Disease)ですが、
自分で調整できる病気(Self Controlable Disease)で
3S病(Disease)といわれています。
ホームセルフケアでプラークコントロールを行い、
歯科医院で歯周病菌の細菌検査を行って原因菌を特定、除菌をして、
さらにプロフェッショナルケアを定期的に行うことで
歯周病の予防と治療が可能になります。
歯周病の予防と治療を行うことで
重大な全身疾患の発症や進行を抑えることができると思います。
お風呂の水垢や排水溝のぬめりと同じような性質のものです。
口の中にできる代表的なバイオフィルムは歯垢で約500種類もの細菌で作られています。
歯と歯ぐきの間に細菌が集まり、プラークが付着してバイオフィルムが形成されると、
歯ぐきに炎症が起こります。
口の中に浮遊している細菌は速い速度で分裂を繰り返すのに対して
多くの細菌の集合体であるバイオフィルムは
歯の表面に付着することにより細菌の性質が変化し、
細胞分裂の速度が著しく低下します。
細菌を殺すための抗生物質は通常細胞分裂の過程で効果を発揮するものです。
そのため、バイオフィルムを形成していると抗生物質が聞きにくい状態となっています。
バイオフィルムのなかには約500種類の細菌がスクラムをくむようにして、
ひしめき合い強い粘着力で歯の表面にこびりついています。
口をすすいだくらいでは全くとれません。
それではバイオフィルムは取れないかというと、
歯ブラシできちんとブラッシングすればフィルムを剥がすことができます。
細菌は生成直後のほうがとりやすいので、やはり毎日のブラッシングが基本となります。
しかし複雑に入り組んだ歯の汚れを完全に落とすことは
セルフケアだけでは限界があり、むずかしいことです。
少なくとも6ヶ月に一度は歯科医院でプロフェッショナルケアを受けましょう。