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常滑の矯正歯科 久野歯科医院 ≫ 反対咬合と治療装置のムーシールドについて
不正咬合といっても様々な不正咬合が存在します。
反対咬合(受け口)上顎前突(出っ歯)空隙歯列(すきっ歯)叢生(乱杭歯)開咬(オープンバイト)などがあります。
乳歯、混合歯列期(おおよそ6歳からの乳歯と永久歯の混ざった時期)に矯正歯科治療を行う目的は、機能的(function)障害の改善と悪習癖(habit)の除去が中心となります。
特に反対咬合と開咬は成人になると治療が非常にむずかしく、骨格的・遺伝的な問題がありますと手術の対象になる場合がございます。
乳歯列の反対咬合 | 混合歯列の反対咬合 | 永久歯列の反対咬合 |
反対咬合の発生率は約5%といわれています。
年間に110万人の出生があると仮定して5万人の方が反対咬合となり、5万人のお母様や保護者様をお子様の受け口について悩ませることになります。
反対咬合の原因は多数の要因がありますが、多くの受け口の人の場合、舌の位置が通常より低い位置(ロータング)にあることが多く、その舌の力は下顎を前に押しだすように働きます。
それが受け口の大きな原因のひとつと考えられています。
舌が低い位置にある |
正しい舌の位置 |
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図は今井一彰先生「あいうべ体操カード」を改変 |
反対咬合(受け口)を放置しておくと下顎骨が過成長しやすくなります。
上顎の成長が抑制されて、下顎は成長をコントロールする上顎の前歯がうまく働かないために下顎の成長が過度に促進されてしまいます。
会話にも影響が及びます。
サ行やタ行の発音に特徴的な「舌足らず」のしゃべり方になります。(例アカサカ→アカシャカ)
当然、咬みあわせが不十分となりますので咀嚼効率も悪くなります。
食事の時間が無用にかかることになります。
審美的にも下顎が突出することになり、思春期からの成長のスパートが加わると横顔が「三日月のような顔立ち」(Dish face)になることがあります。
受け口特有の顔立ちのため、精神的にも不安定な時期に劣等感を感じたり、他の友人からからかわれたり、心が傷つきやすくなる可能性もでてきます。
心の負担をかるく、精神的ストレスを除去し快活な毎日をすごすことは、お子様の生活の質(Quality life)を向上させます。
乳歯の反対咬合(受け口)に対して矯正歯科治療を行う歯科医師の対応にはふたつあると思われます。
6歳臼歯が生えてくる頃(小学校の1年生〜2年生)に上顎の前歯が生えてきます。
1割から3割程度の受け口は乳歯から永久歯に生え変わる時に自然に治る場合があります。
そのような場合には、不必要な治療を避けるために、前歯の生え変わりを待つのは適切であると考えられます。
しかし考え方をかえれば、7割以上の受け口は自然に治ることなく、永久歯の反対咬合につながっていくわけです。
おとなの前歯が生えてくるまで待つのは、乳歯列の矯正治療が永久歯列の正常な咬合状態や歯ならびを保証するものではないという点も大切です。
乳歯列で矯正治療をしても、前歯が永久歯に生え変わる時に受け口になる可能性はゼロではありません。
ほかの不正咬合が発生する可能性もございます。
乳歯の受け口の矯正治療を開始するかどうかは保護者様の考えと矯正治療を行う歯科医とで十分な話し合いを重ね、打ち合わせが必要です。
永久歯の上顎の4本の前歯が生え変わってからでも、混合歯列期(6歳頃)に治療を開始すれば遅くはありません。
それまでにお子様の成長具合を観察しながら必要があれば舌の機能訓練(タングトレーニング)などを先行させます。
早期に治療を開始して、受け口が直るのであれば、それに越したことはありません。
早期に治療しなければ自然治癒がみこめない場合や乳歯列期の治療のみで確実に受け口が治ると予想できる場合などが考えられます。
早期治療が功を奏し、後継永久前歯が正常に生えてくる可能性がたかければ、早期の治療を考えても良いと思われます。
具体的にはムーシールド、その他を使用しての治療となります。
受け口を早期に治すことは以後の反対咬合の弊害や治療の困難さを考えると意義のあることであると考えられます。
またムーシールドの使用により悪習癖の除去や機能訓練の一助になります。
ムーシールド単体での使用では治療費も高額とはなりませんが、再発の可能性もございます。
定期健診、定期観察は必要であると考えます。
幼児(3歳〜5歳)の反対咬合を治療する顎機能矯正装置で、個々の歯ならびを治すのではなく、顎の成長を利用して上下の歯の咬みあわせを正常なものにさせるために使用する装置です。
ムーシールド | ムーシールド正面 |
ムーシールド上面 | ムーシールド側面 |
などの働きが装置に備わっています。
上記のことを充分考慮し乳歯列期の早期矯正歯科治療を開始するかどうかをご相談いたします。