顎関節症について
顎関節症とは
- 顎関節や咀嚼筋の痛み(口を開けるとき、口を閉じる時に顎が痛む)
- 顎関節の雑音(口を大きく開けると「カクン」「ジャリジャリ」「ゴリゴリ」と音がする)
- 開口障害、顎を動かす時の異常(顎の痛みで口が大きく開けられない)
上記の症状を持つ障害の総括的な診断名です。
病態は咀嚼筋の痛み、顎関節の痛み、顎関節円板の障害、変形性顎関節症です。
顎関節症のリスク因子
顎関節症のリスク因子には下記のようなものがあります。
- 1.解剖因子
- 顎関節やその回りの筋肉の構造的な弱さ
- 2.咬合因子
- 不良な咬合関係
- 3.外傷因子
- かみちがい、打撲、転倒、交通外傷
- 4.精神的因子
- 精神的緊張、不安、抑うつ
- 5.行動因子
- 日常的習慣:頬杖、クレンチング(かみ締め)TCH(覚醒時ブラキシズム)
食事:硬いものをよく咬む、偏咀嚼、ガムかみ
就寝時:就寝時ブラキシズム、うつぶせ寝
スポーツ:コンタクトスポーツ
音楽:楽器演奏、歌唱
仕事:PC作業、緊張する仕事内容、重いものの運搬
顎関節症の診査について
当院では下記の診査を行い、最大開口域と痛みと日常生活の支障度を参考にして顎関節機能の総合評価をいたします。
- お口を開けられる距離をはかります(最大開口域の計測)
- お口をあけた時閉じた時に顎関節に起こる雑音の診査
クリック音(カクカク、ポキポキ) 捻髪音、クレピタス(ジャリジャリ、ゴリゴリ)などの音を指で感じます
- 関節部とその周りの筋肉の圧痛の診査
関節部とその周りの筋肉を指で圧迫して触ります
- 痛みの種類とその程度を患者様に尋ねます
安静時に痛い 開口時に痛い 咀嚼時に痛いなど
患者様自身の評価で痛みがない、軽い、中等度、重度の4段階
- レントゲン撮影
明白な顎関節の変形の有無を診ます
- 顎関節の症状で日常生活に支障の出る程度
なし、軽度、中等度、重度の4段階
顎関節症の治療
顎関節症は捻挫や筋肉痛に近い疾患です。
痛みや開口障害が起きて2週間以内であれば安静を保ち患部を冷やします(冷罨法)
2週間を経過したぐらいから患部を温めます(温罨法)
顎関節の痛みの治療
- ・非ステロイド性消炎鎮痛剤
- ・開口練習
- ・スタビリゼーションプライアンス
(リラクゼーション型スプリント)の装着
筋肉の痛みの治療
- ・自律訓練
- ・理学療法:マッサージ、開口練習
- ・生活指導:クレンチング(食いしばり)
TCHなどの改善、ストレスの緩和
- ・スタビリゼーションプライアンス
(リラクゼーション型スプリント)の装着
スタビリゼーションアプライアンス(リラクゼーション型スプリント)について
上顎の歯列を覆うようにつくられたマウスピ−ス型の装着物です。
装置の効果、ねらい
◎顎関節部の安静
◎悪習癖の減少、筋肉の縮む力の減少
◎かみ合わせを遮断する。咬合の干渉を取り除く
装着時の注意
◎1日中の使用は避ける
◎症状のでるときに使用する
◎装着前後で歯に違和感のある場合がある
※一旦削ってしまった歯はもとに戻すことができません。
明白な早期接触、咬合干渉がなければ、歯を削る咬合調整は原則として行ないません。
※関節雑音のクリック音について
若年者のクリック音のみの症状では経過観察いたします。
積極的な治療は必要ないと考えています。
常滑市の歯科、矯正歯科の久野歯科医院では体にかかる負担が少なく、お金のかからないもので、関節やかみ合わせの状態を大きく変えないですむ顎関節の治療に努めています。