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常滑の矯正歯科 久野歯科医院 ≫ 久野歯科医院コラム
常滑市の歯医者、久野歯科医院です。
皆様に役に立つ歯科の情報をおとどけします。
今回は糖尿病について詳しくお伝えします。
日本人の死因の順位
1位:悪性新生物(がん) 28.7%
2位:心疾患 15.2%
3位:肺炎 9.40%
4位:脳血管疾患 8.70%
と続きます。
国民の半分が一生のうち、がんに罹ることを経験し
3分の1が、がんによって命をなくす時代となっています。
死因の第2位の心疾患、第4位の脳血管疾患は
動脈硬化性疾患で糖尿病は大きな危険因子の一つとなっております。
糖尿病の治療を行うことで
心疾患、脳血管疾患が予防できる可能性が高くなります。
歯周病と全身疾患について 歯周病が全身に及ぼす悪影響については
当コラムでお伝えしてきましたが、
特に糖尿病と歯周病には強い相関関係があり糖尿病の合併症に一つにもかぞえられています。
糖質(炭水化物)は体内で消化されてブドウ糖に変わります。
ブドウ糖は血液中から全身に運ばれて細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。
血糖とは血液中のブドウ糖のことで、血糖値とは血液中のブドウ糖の量を表しています。
血糖値の検査で糖尿病の判定をすることになります。
1.早朝空腹時血糖値126mg/dl以上
2.75gOGTT(75g経口ブドウ糖付加試験)で2時間値200mg/dl以上
3.随時血糖値200mg/dl
インスリンとはすい臓のランゲルハンス島β細胞で作られ血液によって全身に運ばれます。
インスリンは血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込んで、
エネルギーの利用や貯蔵などを行って血糖を下げる働きがあります。
糖尿病で怖いのは合併症です。
糖尿病の合併症には
高度のインスリンの作用不足によって起こる急性の合併症と
長年の高血糖によって起こる慢性の合併症があります。
いずれも糖尿病のコントロールができないことで発症の確率が高くなります。
急性の合併症は意識障害などの糖尿病昏睡と感染です。
糖尿病の方は感染症にかかりやすく足の皮膚からの感染症は壊疽の原因にもなります。
歯科で歯を抜く時も十分な感染症の対策、予防が必要です。
慢性の合併症には細く小さな血管に見られる
糖尿病に特徴的な合併症の網膜症、腎症、神経障害と
大きな血管の動脈硬化によって起こる
合併症の脳血管障害、心筋梗塞、末梢動脈性の疾患と認知症と歯周病が上げられます。
糖尿病網膜症は網膜の血管壁の細胞の変化、血の流れの障害などが原因で
網膜が腫れたり出血したり白斑ができたりして発症します。
病が進行しますと出血や網膜はく離を起こして視力障害を引き起こします。
血管新生緑内障は高い確率で失明につながります。
糖尿病腎症は腎臓の糸球体の血管に網膜症に似た変化が起こります。
糸球体が破壊され機能の障害が起こり、重症になりますと腎不全となり透析を行なわなければならなくなります。
糖尿病神経障害は多発性の神経障害と単神経障害があり
多発神経障害はしっかりとした血糖のコントロールにて予防が可能ですが
重症となりますと脚の潰瘍や壊疽の誘因となります。
単神経障害では顔面神経や動眼神経などの脳神経に麻痺が高い確率で起こります。
糖尿病患者が心筋梗塞を起こす危険度は健常者の3倍以上で
欧米では糖尿病患者の40%〜50%が心筋梗塞が原因でなくなっています。
日本でも同じ傾向がみとめられています。
脳血管障害では脳出血よりも脳梗塞が多く、
糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子で糖尿病でない人の2倍〜4倍の頻度で起こります。
糖尿病患者の約半数に高血圧があり全体として小さな脳梗塞が多発する傾向があります。
一過性の脳虚血や軽い麻痺を繰り返して脳血管性の認知症になることもあります。
脳血管性の認知症は女性に比べて男性に多くみられます。
末梢動脈疾患は糖尿病患者に特有のものではありませんが
糖尿病患者の10〜15%と効率で合併します。
やはりここでも足の潰瘍、壊疽が問題となってきます。
高齢な糖尿病患者の認知症は
糖尿病のコントロールを悪化させ
ケアのうえで大きな問題となっています。
高齢な糖尿病患者の認知症のリスクは男性に比べ、
女性に多く見られるアルツハイマー型認知症、
脳血管性認知症ともに糖尿病でない人の2倍〜4倍です。
歯周病はグラム陰性嫌気性菌のPorphyromonas gingivalisなどの
歯周病菌の感染による歯周組織の慢性炎症で糖尿病の重大な合併症の一つです。
1:口の中が乾燥する
腎臓からブドウ糖と水分か排出される(多尿)と体内の水分が減少し
唾液の分泌量が少なくなります(口渇)。
唾液の働きが低下し、歯周病菌が増加します。
2:唾液などの糖分濃度が高くなる
高血糖の状態が続きますと唾液や浸出液の糖分濃度が高くなり
お口の中が歯周病菌の繁殖するのに適する環境を作り上げてしまいます。
3:細菌に対する抵抗力が低下する
高血糖の状態が続きますと血液中の好中球の働きが低下します。
細菌からの感染を防御する働きが低下し歯周病菌などの細菌に感染しやすくなります。
4:組織の修復力の低下が起きる
高血糖の状態が続きますと組織を修復する働きが低下してきます。
5:たんぱく質の代謝に変化が起こる
歯周組織のコラーゲンが減少し、コラーゲンの性質が変化して弾力性が消失します。
その結果、破壊された組織の修復力が弱くなります。
高血糖の状態が続きますと過剰なブドウ糖とたんぱく質は体内に蓄積され、炎症が起こります。
炎症が起こりますと組織に損傷が起こり歯周病が進行します。
6:脂質の代謝に変化が起こる
高脂血症で中性脂肪や悪玉コレステロールが増加しますと歯周病の危険因子になります。
(歯周病と高脂血症の関係について)
7:肥満
肥満で体に脂肪が蓄積しますと脂肪細胞から炎症を引き起こす物質が分泌され
歯周病に影響を及ぼします。
(歯周病と肥満の関係について)
8:合併症としての影響
細かい小血管の障害により血流量が低下してくると感染を長びかせ、
組織の修復をさまたげます。
骨粗そう症などで骨の量の減少は歯の土台の骨にも影響を及ぼします。
(歯周病と骨粗しょう症の関係について)
9:糖尿病も歯周病も生活習慣病である
食べすぎ(糖分の過剰摂取)精神的なストレスなどの共通な生活習慣が悪影響を及ぼします。
1:歯周病は慢性感染症だから
歯周病菌が毛細血管から入り込み、体から様々なサイトカインが分泌されます。
その結果インスリンの働きが阻害され、血糖値が上がります。
2:歯周病で歯を失う
歯がぐらつき歯をなくし歯の数が減少すると物が食べずらく軟らかい食物を選んでしまいます。
あまり咬まずに飲み込むと早食いになり食後の血糖値を急激に上げることになります。
1:腹8分目としましょう
2:食品の種類はできるだけ多くしましょう
3:食物繊維を多く含む食品(野菜、海草、きのこなど)をとりましょう
4:甘いものや脂肪は控えるようにしましょう
5:間食を控えましょう
6:規則正しく1日3食(朝食、昼食、夕食)に必要な栄養量をバランスよくとりましょう
7:よく咬んでゆっくり食べましょう
過食やまとめ食いをしない様に努め糖尿病と歯周病をコントロールできるように治療しましょう。