常滑の歯科、矯正歯科 久野歯科医院です
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正中離開の治療・その3
コンポジットレジンでの接着技法による歯の隙間の閉鎖、治療を報告します
治療開始前の患者様の概要
患者様は22歳女性上顎中切歯の間が気になっていて何とか治せないか、矯正歯科治療の相談で来院されました。
むし歯、歯周病の基本検査を行いました。
口腔内写真、レントゲン写真の撮影、研究用模型の型どりをして診断に必要な資料の採取を行います。
レントゲン写真では埋伏歯の正中過剰歯の有無も確認します
過剰歯はなく、むし歯も確認できませんでした
歯周病の疑いはなく、健康な歯肉をしています。
診断の結果、骨格的には問題なく歯のみの問題で犬歯関係、臼歯関係ともClass1の緊密な咬合をしておりました。
条件からの治療法の選択
矯正歯科治療でこの隙間を閉じようとすると緊密な咬合が災いして本格矯正に近い装置を装着し治療を行なわなければなりません。
マウスピース型の矯正装置のアライナーによる治療でも同じことが考えられました。
患者様のお口の中の環境や状態を考慮して治療法の検討の結果、わずかな歯と歯の隙間を閉じるのに規模の大きな矯正装置を使用することや治療期間のことも考えて矯正歯科治療は行わず、接着技法を使って歯の色に近いプラスティック(レジン)で形を整えて治療することにしました。
歯科における接着の技術の進歩は目覚ましく、レジンというプラスティックと歯は非常に強く接着します。
可視光線(光)をあてて硬く固めるので操作時間が自由にできて、流れの良いものから粘りのあるものまで用途に合った使い方ができます。
接着技法が進歩したことにより必要以上に大きく予防的に拡大処置をする必要がなくなり歯を削る量がとても少なくなりました。
治療の開始と経過
上顎左右両方の中切歯の真ん中の部分になだらかに移行的に流動性の中ぐらいのレジンで隙間を埋めていきます。
両側の中切歯のバランスを崩さないように歯と歯ぐきの間にステップをつくらないようにうめていきます。
中切歯と中切歯の間の接触面もなるべく広くとります。
そうすることで歯と歯の間の歯間乳頭が歯と歯ぐきの隙間を埋めてくれます。
咬み合わせが緊密であるので咬み合わせの調整、チェックも十分行います。
治療後
コンポジットレジンで隙間を目立たないように修復することができました。
この方法は治療期間も短く歯を削ることもなく行えるのですが治した部位のレジンの脱落とレジン部に変色が心配されるので耐久性の面では多少の課題があります。