常滑で112年の歴史のある歯医者 久野歯科医院です
皆様に役に立つ歯科の情報をわかりやすくお知らせします
歯周病に悪影響をおよぼす喫煙
現在成人の喫煙率は19.2%で男性が30.2%、女性が8.2%です。
2016年時点)男性では1995年以降いずれの年齢階級においても減少傾向にあります。
ただし2010年以降では減少が緩やかになっています。
女性では1995年以降、緩やかな減少傾向で20歳から40歳代では減少傾向にありますが50歳代では増加傾向にあります。
成人の1日喫煙本数は重度喫煙者(1日21本以上)は男性で15.2%、女性で5.5%(2014年時点)2003年以降重度喫煙者が男女ともに減少し、男性では軽度喫煙者(1日Ⅰ~10本)が増加しています。
全体的には緩やかな減少が続いているものの、がんを発症する女性中年の喫煙率の増加には注意が必要です。
国が進める「健康日本21」にも喫煙に関する目標値が設定され平成34年度で喫煙率を12%にしています。
お口の健康に悪影響のある喫煙
喫煙は歯周病をはじめとして、お口の健康に大きく悪影響を及ぼします。
・歯周病になりやすく口臭が強くなりがち
・歯ぐきからの出欠が少なくなるので歯周病の発見が遅れ重症化しやすい
・抜歯やお口の中の手術の傷の治りが悪い
・舌の味覚を感じる能力が低下する
・インプラントの失敗のリスクが2~3倍に高まる
などの悪影響があげられます。
歯周組織を破壊する喫煙
喫煙はお口の働きに様々な影響を与え、歯周組織を徐々に破壊していきます。
そのメカニズムは、煙草に入っているニコチン、1酸化炭素、タール、窒素酸化物、その他200種類以上の有害物質の直接的・間接的影響、短期的・長期的影響によって微小循環系、線維芽細胞、免疫系に乱れを生じさせ、
・歯肉に酸素や栄養を供給する血管がニコチンによって収縮し、歯肉への栄養が届きにくくなります。
歯周病の自覚症状の1つである歯肉からの出血が血管が収縮することによって抑制されて歯周病の発見が遅れてしまいます。
・歯周病菌と戦う白血球の機能が低下し、少ない細菌数でも歯周病が発症しやすくなります。
・歯と歯肉の境目にある歯肉溝(歯周ポケット)の中の酸素が不足して嫌気性の歯周病菌が繁殖しやすい環境をつくります。
・歯肉が修復するために必要な機能が抑制されて、歯周病の治療に対して反応が悪く、治りにくい状態になります。
悪影響を受けた微小循環系と免疫系に歯周病菌が関与して歯周組織が破壊されていきます。
喫煙と歯の喪失の相関関係
喫煙と歯の喪失には強い関係があり、日本人男性を対象にした調査によれば喫煙者は非喫煙者に比べて早く、より多くの歯を失う結果となっています。
また歯が残っているヒトほど年間の歯医者にかかる医療費が少ないことがわかっています。
平成24年に香川県歯科医師会が調査したところ、残っている歯が4本以下の人は20本以上のヒトに比べ、年間歯科医療費が1.7倍多いことがわかりました。
喫煙は歯周病ばかりでなく、日本人男性のがん死の第1位の肺がんのおおきな原因の1つでであり、肺気腫などの呼吸器疾患だけでなく、糖尿病を悪化させ動脈硬化を促進させて、心筋梗塞や脳梗塞など血管の詰まる病気にかかりやすくなります。
生活習慣の改善として食事と運動療法だけでは十分ではありません。
リウマチと喫煙の関係
また関節リウマチは喫煙との因果関係が示唆されていて、関節リウマチの多くの患者様は歯周病にかかっています。
喫煙は歯周病、関節リウマチ双方のリスクファクターであると考えられます。
全身疾患への影響という面からも禁煙は必須のものとなります。