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小宮山弥太郎先生の講演を聞く
東京歯科大学の同窓であり、補綴学教室の大先輩である小宮山弥太郎先生の講演を聞く機会がありました。
小宮山弥太郎先生について
小宮山先生は私が学生の頃、補綴学教室の第3講座、局部義歯学の講師でありました。
その後私が大学を卒業する頃にはスエーデンのイエテボリ大学へ留学され、第2講座の医局員になる頃には留学を終え帰国、第3講座で助教授となられ活躍されておりました。
小宮山先生は留学先のスエーデンイエテボリ大学の医師であり解剖学の先生でありましたブローネマルク教授から純チタンの骨結合型のインプラントについて学ばれ現在の日本における歯科領域のインプラント療法のパイオニアの先生です。
最初に
小宮山先生の講演はご自身の自己紹介に始まり、幼少期のエピソードとしてネジの面白さと怖さをそこで知ったと話されました。
その頃からタップの切られたルートフォームタイプのインプラントとの出会いが運命づけられていたのでしょうか?
少年時代からの趣味はバイク。
バイクは2輪で4輪の自動車のように覆いがなく、安定度もありません。
危険度を察知する能力がその時から養われたとお話がありました。
歯科医療の発展
近代の歯科医療の大きな発展はハードウエアでは
・ポーセレン(陶材、セラミクス)
・レジン(合成樹脂)
・インプラント
・CT(コンピュータトモグラフ)
・マイクロスコープ
・CAD/CAM
・ピエゾ
・PRP作成
などがあげられ、ソフトウエアでは
・カリオロジー
・ペリオロジ―
・咬合
などが大きく関与していることを解説いただきました
インプラントの歴史から現在のインプラントの評価
インプラントの歴史は骨膜下インプラント、ブレードインプラントに始まり、インプラントは東京歯科大学では当時の状況から手を染めてはいけない否定的な事案であった。
その後、アルミナセラミクスが登場してきたがソフトウエアの充実が伴わず現在のチタンが主流なルートフォームタイプのインプラントになってきたことをお話されました。
また小宮山先生はご自身は特定のインプラントメーカーの宣伝マンではないこと、インプラント療法がベストなものだとは思っておらず1つの選択肢の一つとしてインプラント療法があること、ソフトウエアが非常に大切であることをお話いただきました。
インプラント治療は、
・患者様にとってはQOLを改善させ、
・歯医者にとっては咀嚼機能の回復や、審美治療などに非常に有効な治療法であり、
・研究者にとっては壮大なテーマで、
・インプラント材料を扱う業者にとっては
大きな利潤を生むものであることをお話いただきました。
またインプラント治療は長く安定した治療法となってきていて患者様の寿命や歯医者自身の寿命も考慮しなければならないこと、インプラントには多くの治療費がかかり、現在ではマネーゲームに飲まれトラブルが顕在化して増加していくであろうこともおはなしいただきました。
最近のインプラント治療の問題点
続いて最近のトレンドとなっているインプラント治療の方法についての問題点を挙げ、注意喚起が必要であることをお話いただきました。
ガイデッドサージュリーはインプラント体を顎の骨に埋入するときのドリルのガイドをあらかじめ製作してインプラント体をより正確により安全に埋入するための方法ですが、
・ガイドの変位やガイド自体の誤差に注意が必要で、
・ガイドによりドリルの冷却の不足に注意が必要、
・実際の骨質の把握を十分しなければならないこと、
フラップレスサージュリーについては粘膜を剥離しないために
インプラント体の埋入する深さが浅くなりがちで予定外の深さの変更は事故につながり、
・軟組織の巻き込みに注意が必要であること、
・CAD/CAMのフレームワークについては精度に対する信頼について、
・テーパー型フィックスチャーは初期固定性が高いが対象は生体であるため配慮が必要であること、
・骨への侵襲を最小限に抑えるためにはドリリング時に熱を生じさせないことが大切であること
などを解説していただきました。
私も抜歯即時埋入、抜歯即時負荷などにはCTを利用しての十分な術前の診査から骨の状態の把握が必要であると思います。
一見、粘膜の剥離をしないため、抜歯窩の治癒促進を利用できるなどのため安易な選択は慎むべきであり、高度な技術が必要で大きな事故につながる危険性も多くなると感じています。
口腔内は必ず変化していくことを忘れずに再治療を行なう可能性を常に念頭において処置方針を立てて患者様に臨むことをお話いただきました。
インプラントによる歯科治療だけではなくすべての歯科治療に通じる大切なお言葉をいただきました。