常滑の歯医者 久野歯科医院です
皆様に役に立つ歯科の情報をわかりやすくお知らせします
子供のむし歯と飲み物について
子供のむし歯は減っている
子供のむし歯は30年前に比べて格段に少なくなりました。
春から初夏にかけて多くの地域で学校健診が始まりますが、30年前はいわゆる「乳歯金属冠」という被せ物が乳臼歯のほとんどに処置されておりました。
その乳歯冠が次第にメタルインレーという金属製の詰めものに変化していき、現在ではレジンという樹脂の目立たない詰め物になってきて、むし歯の本数は減少し、むし歯の程度は小さくなり、むし歯のない子供も珍しくなくなってきています。
12歳児のむし歯を経験した歯の数(う蝕経験歯数)も0.84本となっています。
むし歯を引き起こす要因
むし菌(ミュータンス菌)ショ糖、歯、唾液、時間の5つの要因が重なってむし歯が発生すると考えられています
むし歯はうつります
いままでも当コラムや院長ブログでお伝えしてきているように、むし歯はむし歯菌による感染症です。
多くは母親や子供の世話をしている者の唾液からむし歯菌が子供にうつっていきます。
母親のお口の中のむし歯菌が多いと子供にも早い段階でむし歯菌が見つかります。
お口の中の酸性度について
お口の中は飲食の際に酸性に傾きます。酸性度を表すのによくpH(ペーハー)が使われます。
pHは水素イオンの濃度をあらわす指数で酸としての強さの程度がわかります。
0~14の数値で0が酸性が一番強く、14がアルカリ度が一番強く、7が中性ということになります。
歯のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出す脱灰の限界のpHは4.5~5.5といわれています
哺乳瓶う蝕について
乳幼児に哺乳瓶に糖をふくむ飲み物を入れて、夜寝る時にのませると上顎の前歯にむし歯が広い範囲で発生します。
2歳過ぎに哺乳瓶の使用をやめるので、それまでに萌出した上顎の乳歯すべてにむし歯の影響が出ます。
1970年ほどにはよく診られたようですが、現在は母親教室などで歯科衛生士が講話、指導や相談などをしっかり行なっているためでしょうか?常滑市保健センターで行なわれている乳幼児歯科健診で私は今まで診たことはありません
スポーツドリンクう蝕について
スポーツドリンクなどのイオン飲料は「体液に近い成分を含んだ飲み物でからだによい」というイメージが強く定着しているようです。
保護者は体のためには水よりもスポーツドリンクのようなイオン飲料の方がよいと思い込んでいる方が多くいると思います。
そのために習慣的にスポーツドリンクを子供に飲ませている場合もあるようです。
スポーツドリンクなどのイオン飲料に含まれる電解質は下痢や脱水の時には必要ですが、通常の食事のできている子供にはイオン飲料の電解質は過剰となり、のどが渇いてしまい、さらにおおくのスポーツドリンクなどのイオン飲料を飲むという悪循環となってしまいます。
スポーツドリンクによるむし歯はずいぶん以前から指摘され、注意されていましたが、昨今の熱射病の増加やペットボトル、水筒などで携帯しやすく、スポーツドリンクなどのイオン飲料を飲む機会の増加により、スポーツドリンクなどのイオン飲料の危険性を保護者に理解してもらうようにアナウンスされています。
スポーツドリンクなどのイオン飲料はpHが3.6~4.6と低く歯を脱灰させてしまいます
歯を脱灰させる乳酸・炭酸飲料について
乳酸飲料や炭酸飲料はスポーツドリンクなどのイオン飲料とともにpHが低く、飲むときには注意が必要です。
アルコール類も酸性の飲み物ですがさらに炭酸水で割るものがおおく売られています。
乳酸・炭酸飲料が長くお口の中にとどまっているとお口のなかのpHが低い状態が保たれて、やはり歯のエナメル質を脱灰させてしまいます。
大人にとってもスポーツドリンクなどのイオン飲料以上に乳酸飲料や炭酸飲料、アルコール類は毎日の食生活の中で習慣になりやすく、酸蝕症を発生しやすく注意が必要です。
飲み物で発生しやすくなるむし歯の対策
飲み物の多くは毎日の習慣のなかで摂られている場合が多くあり、お口の中の状態が酸性に傾くことで歯を脱灰させ、むし歯の発生頻度を高くします。
スポーツドリンクなどのイオン飲料や炭酸・乳酸飲料を過剰にのむ習慣を見直すことが大切だと思います。
飲むときには飲んだ後はお茶や水をのんだり、すすいだりしてお口の中の酸性度を低くするように努めましょう。
食事のときは食物を良く咬んで、唾液の分泌を促進させたり、合間にはお茶や水を飲んでお口のなかをさっぱりとさせることも大切です。
スポーツドリンクなどのイオン飲料や炭酸・乳酸飲料が絶対ダメというのではありません。
極端な摂取を控えてよい点、悪い点を十分に理解して飲みましょう
今後の課題
子供のむし歯は減少しています。
今後、子供たちには歯肉炎の予防のためのセルフケアについて理解を深めることも大切かと思います。
小学校の中学年ぐらいから正しい歯周病の知識を得て、適切な方法で機能性の高い道具(歯ブラシなど)を使用して歯肉炎の予防対策を身に付けてもらいたいと思います。
正しいブラッシングなどのオーラルセルフケアの定着が成人になってからの歯周病の予防にも大きく影響してくると考えています。