体にご負担の少ない歯科治療を目指しています 久野歯科医院です
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顎関節周囲に違和感のある患者様
「顎が痛い」特に朝起きたときに顎の周りにこわばりがあり、強い違和感を感じるとのことで来院されました。
また患者様は新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが主体となっており最近、さらに違和感の程度が増しているとお話されました。
口腔内診査と顎関節周囲の診査
開口量は十分で大きくお口を開けることができました。
顎関節周囲の触診では関節部の圧痛はなく関節部の雑音はありませんでした。
お口の中を拝見しますと、むし歯で大きく修復された部位はなく、軽症のむし歯がレジンで修復されている状態で歯周病も軽い歯肉炎の状態でした。
歯が異常に減っている部分もありませんでした。
舌には歯の圧痕は診られませんでしたが、骨隆起を思わせる部位が下顎の舌側と上顎の口蓋側の歯槽部にありました。
骨隆起があることや顎周辺の筋肉のこわばり、違和感などから睡眠中の激しい食いしばりが想像できます。
食いしばりの力が自身の耐久限界を超えてしまうと筋肉に負担がかかり、治りにくくなってきます。
幸いなことに関節部には痛みがなく、開口障害もないですが早めのコントロールが必要です。
以前にも「マウスピース」を作成され、装着の経験がありましたが十分な効果が得られていないとのことでした。
処置方針
特に睡眠時は自身でのコントロールは不可能ですので診断と治療を兼ねてリラクゼーション型スプリントの装着を計画します。
テレワークでパソコンなどのモニターに集中すると覚醒時の噛み締めが生じている可能性があり覚盛時のコントロールも必要になってきます
人間の上下の歯が接触するのは物をかむときと飲み込むときだけで、1日の合計では実際では15分程度だと思われます。
その他の時間は上下の歯が離れていることが正常な状態です。
唇は閉じて鼻呼吸を行なっていても顎の筋肉は緩んでいて上下の歯は離れているのが正常な状態です。
この状態を安静位といい、離れている空間を安静位空隙と呼んでいます。
反対にいつも、上下の歯を接触させた状態では歯や顎の筋肉が疲れてしまい、歯周病や顎関節症の原因となります
治療経過
リラクゼーションスプリントを装着してフラットな面に均等に歯が接触するように調整します。
・夜、就寝時に装着すること
・装着の前後で歯に違和感があるが続けて装着していると徐々になくなっていくこと
・装着の前に口腔ケアをしっかり行うこと
・無理はしないこと
・装着していてリラックスできるのであればテレワーク時に装着しても良いこと
などの装着に際しての注意をお話ししました
2週間後に来院いただき治療効果の評価を行います
再度、かみ合わせを調整します
患者様は顎関節周囲の筋肉のこわばりは軽減したようでした。
テレワーク時にも装着していると楽であると報告がありました。