113年の歴史のある歯医者 久野歯科医院です
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東京歯科大学愛知県同窓会学術講演会
東京歯科大学愛知県同窓会の学術講演会は新型コロナウイルス感染症の影響でZoomにておこなわれ、参加しました
題目:「CAD/CAMクラウン、ワンランク上のはずれない接着を目指して!」~もう一度接着を基礎から学びましょう~
講師:冨士谷盛興先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座の教授、愛知学院付属病院審美歯科診療部部長)
学術講演会には前東京歯科大学補綴2講座主任講座の教授で現在、東京歯科大学短期大学の副学長の佐藤享先生も参加していただきました。
佐藤享先生は私が研修していた補綴第2講座の先輩で当時は大学院で研究にまい進しておられた姿が思い浮かばれます。
その反面、私たち後輩の面倒見もよく朗らかな先生で、そのお人柄は副学長になられた今でも変わっておりません
CAD/CAM冠の問題点
今回は冨士谷先生に主に口腔内という苛酷な環境に耐えうる樹脂接着材料についてとその接着技法について詳細に解説していただきました
CAD/CAM冠が普及するにつれ、はずれやすいことへの対策とともに最近は破切に対する対応が増加傾向にあるようです
今回の講演会では最初にCAD/CAM冠のはずれる理由を冠の適合の良し悪しと接着の良し悪しの4通りに組み合わせと修復物(冠)の厚み不足について説明いただきました。
金属の冠にくらべて樹脂系の修復物は厚みの不足により割れたり、かけたりすることが多くなります。
オールセラミッククラウンによる接着について
オールセラミックス冠については
・はずれないためには適正な支台歯形成と良好な適合性が重要であること
・3種類のセラミックスと2種類の被着面にたいして正しい接着処理を行なうこと
・オールセラミック冠を装着時にやってはいけないことについてもお話がありました
オールセラミック冠のより良い接着のための要点を修復物側と支台歯側にわけて解説して、いただき、さらに販売されている多くの接着剤について写真と図解を示され、とても詳しい説明がありました。
多くの接着材料の何を使用するのがよいのか、毎日の診療のなかでは使用する材料は、なるべく種類を少なくし、操作の簡単なもので効果の高いものが必要になります。今後の接着剤を選ぶ参考になりました。
歯への接着は基本的にエッチング、プライミング、ボンディング3ステップでおこなわれます。
この接着の基本的なコンセプトをおさえて、ワンステップボンドの仕組みからワンステップボンドの確実な接着のためのポイントをとても丁寧にわかりやすく教えていただきました。
久野歯科医院でも接着には、このワンステップボンドを多く用いています。
また講演会の中ではCAD/CAM冠の十分なクリアランスの確認のために使用するインスツルメント、辺縁形成の同形態のCAD/CAM形成用超音波チップやレジンコーティング後の支台歯のフィニッシングの方法について使用するバーの詳細など非常に臨床的で明日からすぐに使用できる情報などもご教示いただきました
最近のトレンド
最後に最近のトレンドであるユニシェードタイプのコンポジットレジンについてユニシェードの原理、発売各社の特徴と比較、ユニシェードタイプのコンポジットレジンの適応症についてもお話くださいました。
ユニシェードタイプのコンポジットレジンとは各々の歯に対して色を合わせる必要がなく幅広い歯質の色調に同化するものです。
また発売から30年以上経過しているスーパーボンドに対する高評価についてはとても興味深いものがありました。
久野歯科医院では矯正歯科をふくめて非常に多くの患者様にスーパーボンドを使用しています
質疑応答では会員の修復物の接着の実際からの質問にも丁寧にお答えいただき、ベテランの先生にも明日からの診療にすぐに役立つ内容のとても素晴らしい講演会となりました。
学術講演会が実のあるものとなることは企画に関係したものの一人としてうれしく思います。
佐藤先生から冨士谷先生のセミナーのご案内をしていただき、新型コロナウイルス感染症が落ち着きましたら是非参加したいと思います。