体にご負担の少ない歯科治療を目指しています 久野歯科医院です
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入れ歯安定剤の使い方について
患者様の概要
部分入れ歯を装着していて定期健診に来院されている患者様です
上顎に残存歯の少ない多数歯部分入れ歯を装着されています
多数歯の部分入れ歯を安定させ、はずれにくく、食事が十分にできるためには残っている歯の位置関係が非常に大切になってきます。
来院されたこの患者様も重要な位置関係にある歯が歯根破切を起こし、歯肉が腫れ、痛みが出て、来院されました。
以前の院長ブログでもお伝えしているように歯根破折がおこると、歯を保存することができず、ほとんどの場合抜歯が必要となってきます。
この患者様の入れ歯に入れ歯にかかる力が残っている歯に伝わり、歯根破切を起こしたと考えられました。
その結果、残っている歯とかみあっている下顎の歯がなく、すれ違い咬合の状態となってしまいました。
すれ違い咬合は入れ歯の安定、入れ歯の破折、咀嚼機能の低下などとても厄介なお口の中の咬み合わせの状態です。
鍵となっていた歯がなくなり、入れ歯の安定に支障が大きく出てきました。
入れ歯安定剤の長所
歯のなくなった部分の修理を行ない、患者様には入れ歯安定剤を使用していただくようにお話しました。
義歯安定剤の長所は、物を咀嚼する、発音するなどの機能時に入れ歯がはずれることなく入れ歯を安定させることができることに尽きます。
入れ歯を使用する高齢者、超高齢者は健康寿命が延び活動的な方も多くいらっしゃいます。
新型コロナウイルス感染症の影響で利用が差し控えられていますが、カラオケ、水泳、ハイキング、親しい仲間との会食など健康な高齢者の活動は本来、活発です。
それぞれの場面で入れ歯の装着はとても役に立ちます。
入れ歯は単に咀嚼機能の回復に重点がおかれている時代ではなく人と人のコミニュケーションの重要な役割りも担ってきています。
カラオケや合唱、ゴスペルでの熱唱も入れ歯が、はずれるのを気にしていれば楽しさは半減してしまいます。
気心の知れた仲間との会食はおいしい食事とともに会話がはずめば、愉快な時間がすごせます。
入れ歯はアンチエイジングにも役立ちます。
健康な笑顔からこぼれる白い歯はとても若々しく周囲をあかるくします。
運動(スポーツ)の際にも入れ歯を装着していると歯を食いしばることにより下顎が安定し、全身に力がはいります。毎日の生活の中では転倒の防止に役立ちます。
転倒しても怪我の程度を軽減できます。
入れ歯安定剤の評価も以前とは違ってきているのかもしれません
入れ歯安定剤の短所
しかしよいことばかりではありません。
入れ歯安定剤は取り扱いが少々厄介な面があります。
一般的なクリームタイプのものでは取り外す時に顎といればの両方に安定剤がべたつき残ります。
安定剤をふき取ってお口の中や入れ歯を清掃するのがとても、めんどうです
清掃を怠り、入れ歯を装着したままにしておくとカンジダ菌が繁殖し、義歯性口内炎が発症したり、さらに顎にあっていない入れ歯に安定剤の長期の使用で義歯性線維腫ができる可能性があります。
口腔カンジダ症はがん化することもあり、口腔潜在的悪性疾患のひとつに挙げられています
顎にあっていない入れ歯に使用すると安定剤の量がおおくなり、熱い食物などで溶けてくることもあります
使い方が大切です
入れ歯安定剤の使用には
・顎と入れ歯の適合が良好なこと
・入れ歯の清掃がしっかりできること
・定期健診ができること
などの条件が整っての使用が望まれます
入れ歯安定剤は日常生活の場面、場面で必要に応じて上手に活用することが大切に思います