久野歯科医院です
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歯の数とアルツハイマー型認知症の関係について
認知症とは「正常に達した知的機能が後天的な器質性障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態で、それが意識障害のないときに見られる」と定義されています
認知症の高齢者は平成22年では65歳以上の人口の9.5%である280万人で、令和7年には65歳以上の高齢者の12.8%である470万人となるといわれています。
認知症の中でも多いのはアルツハイマー型認知症で7割を占めています
お口に中に残っている歯の数が19歯以下の人は20歯以上の人に比べて、認知機能の低下と認知症の発症のリスクが2割高くなるという報告もあります
歯の喪失から認知症発症への流れ
・歯を失うことにより咀嚼の回数が減少します
・咀嚼回数の減少により大脳の海馬や扁桃体などの認知機能に関わる部分への刺激が少なくなります
・刺激の減少により、認知機能の低下から認知症が発症しやすくなると考えられます
また
・歯を失うと咀嚼機能が低下して食べられる食品が限られてきて栄養のバランスが崩れたり、低栄養を引き起こしがちになります。
・特にビタミンの接種不足は認知症になるリスクを高めることがわかっています。
歯周病と認知症の関係
歯周病も認知症の大きな原因となっています。慢性的な歯周病にために起こる炎症により産生されたサイトカインなどは血液を介して脳に悪影響をおよぼします。
歯周病の悪化から歯の喪失、認知症の発症への悪循環により、認知症が発症すると口腔のセルフケアが不十分となることが予想され、歯周病が悪化することが十分に考えられます。
また認知症を伴う歯周病の悪化は歯を失くす大きな原因となっています
大切な口腔ケア
大切な歯を失くさないためにはやはり、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが必要です。
十分な口腔ケアが行なわれ、むし歯の発生と歯周病の悪化を防ぐことが認知症の発生を予防します。
不幸にして歯の喪失が多くなっても、認知機能の低下、認知症発症の引き金が咀嚼機能の低下であるとすれば入れ歯などで補うことができると考えています。
歯科医師会の進めてきた8020運動が皆様に認知され、80歳の方の50%は20本以上歯が残っている状態が実現しています。
お口の中を清潔に保つことが認知症をはじめとする全身疾患の発症を予防して全身の健康を維持させることにつながります
追記 アルツハイマー型認知症の新薬(レカネマブ)は早期アルツハイマー病患者を対象にした第3相の臨床試験で、症状の悪化抑制を示したとのニュースがありました
日本での承認がされ、アルツハイマー認知症の治療に期待できます
久野歯科医院
院長 久野昌士