久野歯科医院です
皆様に役に立つ矯正歯科の情報をわかりやすくお知らせします
了解をいただきました主に常滑在住の患者様の治療経過の報告をいたします
どのように治療がすすんでいくか、写真を提示して解説していきます
常滑市在住 S.M様 23歳女性 下顎前突傾向のある上下顎前突・叢生 抜歯症例 その8とまとめ
患者様の概要
S.M様は当院の無料相談にて来院されました
最初から当院での矯正歯科の治療を希望されましたので、むし歯や歯周病の検査とともに通常の矯正治療の試料採取を行い、診断を行いました。
上顎の中切歯が左右的に傾斜しています
上下の前歯には叢生があり、かみ合わせが浅く上下の歯が切端同士で接触しています(切端咬合)
右側の側方面間では上顎の第1大臼歯を基準にしたアングル分類では臼歯関係は、いわゆる3級傾向が強く犬歯関係も同様です
左側では臼歯関係、犬歯関係ともにアングル分類3級です
骨格的には反対咬合で咬み合わせも浅く難易度はやや難しいと判断しました
患者様には小臼歯の抜歯が必要なこと、治療期間は2年6か月から3年は必要であることとともにやや難しい治療であることを治療前にお話ししました。
治療開始 治療経過1
3Mユニテック社製スーパーエラスッチックオルソフォームⅡの0.14インチラウンドのニッケルチタンワイヤーを最初に装着しました
叢生の強い前歯は最初は結紮線を使用せずゴムにて歯のブラケット装置に近づけます
右側は上下顎の第1小臼歯を抜歯しました
左側は正しい臼歯関係をつくるために上顎第2小臼歯を抜歯して、上顎の左側第1大臼歯を前方へ移動させるように計画します
左側の下顎は第1小臼歯を抜歯しました
治療経過2
治療を続け、016×016ステンレススチールワイヤーを装着しました
積極的に歯を移動させる治療では腰の柔らかいニッケルチタンワイヤーからステンレススチールワイヤーに治療がすすんでから行います
またニッケルチタンワイヤーの性質を利用して歯を動かすときもあります
反対咬合傾向を改善するため上顎の第1大臼歯のチューブに付いたフックと下顎の犬歯につけたフックで顎間ゴムを患者様には使用してもらいます
左側の側面感も同様です
上下顎ともに犬歯の後方への移動(キャナインリトラクション)を行います
上顎の4前歯は連続的に結紮してあります
下顎には016×0.22のT-loop付きのワイヤーを装着しました
上下顎ともエラストメトリックチェーン(パワーチェーン)を犬歯と第1大臼歯のチューブのフックに伸ばして装着しその戻る力を利用して犬歯を後方に移動させます
左側は上顎は第1小臼歯と第1大臼歯でエラストメトリックチェーンで引きます
キャナインリトラクションのステージで上下顎の犬歯関係を確立するように治療します
治療経過3
犬歯の後方移動が完了したら4前歯の後方移動(アンテリアリトラクション)のステージに入ります
上顎は上顎第1大臼歯と犬歯と側切歯の間に設定したフック(クリンパブフック)とでエラストメトリックチェーンを使用したスライディングメカニクスで4前歯の後方移動を行います
下顎はT-loopをつけたワイヤーでループメカニクスにて4前歯の後方移動を行います
上顎より先に下顎のアンテリアリトラクションを行い移動の状況から上顎のアンテリアリトラクションを行うようにします
スライディングメカニクスとループメカニクスはそれぞれに利点と欠点があり、使い分けをしています
治療経過4
上下顎のワイヤーを0.16×0.22インチのステンレススチールワイヤーに交換しました
最終的な調整を行うためにワイヤーを交換します
かみ合わせを調整するために第一大臼歯にステップアップベンドを入れてあります
動的治療完了
動的治療を完了しワイヤーを取り外し、ブレース(ブラケット)を除去しました
上下顎の中切歯の正中は改善されています
犬歯関係、臼歯関係ともに1対2歯の対抗関係に改善されました
S.M様は、お約束をお守りいただき、無断キャンセルもなく来院され、確実に治療を受けていただきました
その結果、ワイヤー装着の治療開始から2年3ヶ月で動的治療を完了することができました
矯正歯科治療にはむし歯の発生、歯周病の悪化、歯根吸収、歯髄変性、歯肉退縮などの副作用の起こる可能性があります
治療期間 2年3ヶ月
治療費用 60万円
今後は保定治療に移行します
上顎にはベッグタイプのリテーナーの装着をお願いしました
下顎は第2小臼歯から第2小臼歯までの舌側の固定式のリテーナーを接着しました
保定は動的治療と同様に非常に大切な治療です
久野歯科医院 院長
久野昌士