常滑の久野歯科医院です
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局所麻酔後の動悸について
来院された患者様は、上顎の第2小臼歯が口蓋側に転位を起こしている第2小臼歯の外側が第1大臼歯と第1小臼歯の裏側に接していて深いむし歯が第2小臼歯の外側にありました。
また接している部分の隙間は3角形となっておりブラッシングなどの口腔セルフケアが十分に、できない状況にありました。
歯周ポケットも深くなっており、レントゲン撮影を行い状態を患者様に説明し口蓋側に転位している第2小臼歯の抜歯を行なうことになりました。
通常通り局所麻酔の前に針を刺入する場所に表面麻酔を行ない、局所麻酔をゆっくりと行ないます。
その後麻酔薬の効果が発現するまで待っていただきます
局所麻酔注射の直後より「どきどきと動悸がする」と患者様から訴えがありました。
どきどきが収まるまで少しの時間(15分ほど)お待ちいただきました。
その後、血圧測定、脈拍をみて、患者様の状態が良好であることを確認し抜歯を行なうことができました
局所麻酔後の動悸については考えられる原因はストレスや不安感、極度の緊張と局所麻酔剤に添加されているアドレナリン(エピネフリン)の影響があります
ストレス、不安、極度の緊張
歯科のむし歯の処置や治療はドリルを回転させ歯を切削するため道具の音がや衝撃、振動が頭に伝わり、決して心地のよいものではありません。
また、局所麻酔は注射麻酔で注射後には痺れと違和感を伴います。歯科は多くの処置が外科的な要素があり、注射が完了してから処置、治療が開始されます。
内科などの診療で薬物の注射で当日の治療が完了して終了ではないのです。
治療中にも痛みがあるのではないかという不安や次の処置の予想ができないと不安がおおきくなります。
お口の中に回転する切削器具が入るだけで肩に力が入ってしまい緊張度がますことになります。
また患者様の仕事の特性から夜間勤務後などの体調の状態も影響を及ぼすストレス因子になります
局所麻酔薬に添加されているアドレナリン(エピネフリン)
歯科で用いられている局所麻酔剤は特別な場合を除き、アドレナリン(ピネフリン)がふくまれています。
アドレナリンの働きは末梢血管を収縮させることにより抜歯や歯周外科などの手術の部位の出血が抑えられよく見えるようになることや局所麻酔剤の吸収を抑えて麻酔時間を延長させる働きがあります。
しかし副作用として不安、血圧の上昇、心悸亢進(どきどき)頻脈、頭痛などが起こることがあります。
これらの症状は一般的には一過性で安静にしていると回復してきます。
血管迷走神経反射
また局所麻酔後に血圧の低下、徐脈、貧血などの不快症状の起こることがあります
以前は、歯科でのこの不快症状を「デンタルショック」「脳貧血様発作」と呼ばれていました
ストレスや不安感、痛みや極度の緊張によるもので迷走神経の交感神経と副交感神経のバランスが大きく崩れることにより起こります。
歯科の麻酔注射だけではなく最近の話題では新型コロナウイルスの予防接種や血液検査などの採血でも起こることがあります。
診療台を水平位にして足のほうをタオルなどで高くして休んでいただきます。
いずれにしましても、患者様に局所麻酔のときから不安を与えないように、痛みを与えないように衝撃振動のある処置の場合はあらかじめ予告して安心して歯科治療が受けられるように十分な配慮が必要になってきます。
また睡眠不足など体調に不安のある時は外科処置を見送ることも必要と考えています
久野歯科医院
院長 久野昌士