目立たず無理せず背伸びせず 常滑で開院115年の歴史ある歯医者の久野歯科医院です
皆様に役に立つ歯科の情報をわかりやすくお知らせします
介護と咀嚼の関係を考え、誤嚥性肺炎を予防する
介護が必要な人たちの口の中は、あまりよい状態ではないことが時々見受けられます。
全身の介護が優先され、お口のケアまで手が回らないこともあるでしょう。
口から食べることは栄養の面でも精神的な満足感の面でもプラスの作用があります。
介護が必要な方が口から食べる時には注意しなければならない項目があります
誤嚥による肺炎と食べられない低栄養です
誤嚥性肺炎
要介護の方は自立したお年寄りに比べて入れ歯を装着していない人が多く見られます。
体が不自由になった基礎疾患をお持ちの方も多くいらっしゃいます。
病院・ホームなど施設では個個の入れ歯の管理や洗浄が不十分なケースも考えられます。
外出がままならない場合など歯科治療が受けにくい環境もあるように思います。
色々な状況、原因が複合して、その結果、歯がなくても食べられるような軟らかい食事になりがちです。
老人ホームでの調査ではお粥や刻み食のような軟らかい食事を摂っている人のほうがお口のなかのカンジダ症(真菌症)が多いという報告もあります。
誤嚥性肺炎の発症まで
誤嚥性肺炎はどのように起こるのでしょうか?お口のなかのセルフケアができなくなり口腔清掃が不十分となると歯周疾患が悪化したり、多くのむし歯が発生します。
基礎疾患で飲んでいるお薬の影響で唾液の分泌量も減少します。
その結果、口腔や咽頭部の細菌の量が増え、病原性が強くなっていきます。
肺への誤嚥が起こります
誤嚥は食事中のはっきりとした誤嚥だけではなく、無意識のうちにプラークの混じった唾液や胃食道逆流症によるものが気管に入ってしまうミクロアスピレーションが起こります。
個体の抵抗力に左右されそれは肺の異物排除の能力の減退や基礎疾患の重症度や免疫力の低下、抵抗力の低下などが起こり、誤嚥性肺炎を発症します。
軟らかい食べ物の方がお口のなかや咽頭部に残りやすく、口腔ケアができていないとお口のなかは不衛生になり誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。
低栄養の問題
この院長ブログでも取り上げることのある最近、よく話題となっているフレイル(虚弱)には肉体的なフレイル、社会的フレイル、精神的フレイルの三つが重なり増悪していきます。
肉体的なフレイルはお口のなかの働きのものを咬む、飲み込むなどの機能の低下によりオーラルフレイルとなり引き起こされていきます。
低栄養の問題は食べる人の食べたり、飲み込む能力にあった食品形態を考慮することで改善していきます。
歯の治療を行ない、きちんと入れ歯を装着して普通の食べ物が食べられるような状態をつくることがたいせつです。
そうすることが誤嚥を少なくして肺炎を予防することにつながります。
食物を口から補給してさらに咀嚼をすることが大切です。
口から食物・栄養を摂取できることは健康で生きるのにとても大切であると考えています
常滑市の介護認定審査会は6つの合議体で形成され、おおよそ1月に1回各合議体で開催されますが、お口の中の項目も含まれています
要介護度がすすまないうちに、ご本人や介護者のかたには歯科健診からお口の手入れ、嚥下機能、むし歯の治療、使用している入れ歯のチェック、入れ歯の修理などされると、フレイルの予防や健康の回復に期待ができます
久野歯科医院 院長
久野昌士