目立たず無理せず背伸びせず
患者様の体に優しい歯科治療に努めています 常滑・知多市の歯科 久野歯科医院です
金属床の総入れ歯について
総入れ歯の金属床ってほんとにいいんですか?と患者様からおたずねがありました
私からは金属床の総義歯を基本的には患者さまにはあまりおすすめしません
金属床の良い点と悪い点
・金属床は、金属を使用するので強度の点で優れています。
・金属は薄くできるので違和感を軽減します
しかし金属床は
・思っているほどは長持ちをしません
・細やかな調整と修理が必要です
金属床の種類について
よくゴールドの金属床の紹介がされている場合がありますが、とても重いです
重量感は手に取ればすぐにわかります。
ゴールドは延性、展性に優れているので薄くすることができますが、軟らかく変形しやすいのです簡単に指の力で形が変わります
確かにチタン床は軽いですが精度が落ちます
精度が落ちればやはり吸着が甘くなります
金属床に多く使用されるコバルトクロム床でも経年的にゆるくなって上の入れ歯がはずやすくなり、したにはずれて落ちてきます
少なくとも私のつくった金属床の総義歯の入れ歯は吸着の面でレジン床に劣ります
金属床で吸着のよいものはレジン床ではもっと吸着がよくなります
ときに金属床の後縁をレジンで作ってあるものが見受けられます
なぜでしょう?
それは入れ歯が外れにくくする吸着をよくするために工夫がされているのものです
上顎総義歯の吸着のキーポイントの一つに後縁の位置、状態などがあげられます
後縁をレジンで処理すれば吸着はよくなるかもしれませんが金属床の利点は大きく後退することになると思います
患者様はどのようにお思いでしょうか?
団子や餅が口蓋の金属部分に張り付くという苦情も聞くことがありました
入れ歯を長く使用していただくために
顎は経年的に変化します
長く入れ歯を使用していると顎が変化することにより、ゆるくなったり食べかすが内面に多く侵入してきて不快感が増してきます。
顎と床の適合を図る為には顎と床との隙間を埋める処置(リライン、リベース)が必要です。
その時点で金属で覆われた口蓋は、ほとんどレジンに置き換わることが多いです
ちなみに、口蓋部は変化の少ない部位であるので裏打ちは必要がないといわれていますが・・・。
リラインが行なわれると吸着が非常によくなります
金属床の顔をしたレジン床の入れ歯の出来上がりです
その時点で患者様はレジン床となった自分の総入れ歯に違和感を感じません
現在では接着技術の進歩により特別な処理と材料により金属とレジンは接着しますが十分な接着まだまだ期待できません。
金属床は修理がしにくいのです
また超高齢化のすすんだ現在、口腔機能の低下がすすんでくると舌圧が低下してきます
使用している義歯を使用して、舌接触補助床を調製します
その時にも金属床はレジン床より調整修正がしにくく取り扱いに、てまどることにもなるでしょう
私は自費の総義歯が悪いといっているのではありません
保険治療では利用できない人工歯の使用や顔面と口角の傾きから前歯歯列の自然観を再現すること、歯肉の年齢相応あるいはアンチエイジングを考えた色彩、歯の色、歯肉の毛細血管までも再現されたレジン部分等、咀嚼機能と共に自費治療の総義歯が優れていることに間違いはありません。
私の個人的な意見で恐縮ですが上顎総義歯の金属床の調製については、よく担当の歯医者と相談することが大切だと考えます
久野歯科医院 院長
久野昌士