目立たず無理せず背伸びせず 常滑の歯医者 久野歯科医院です
皆様に役立つ歯科の情報をわかりやすくお知らせします
色合わせ(シェードテイキング)の難しさ、テクニシャンとの情報の交換、伝えることの難しさ、コミュニケーションの取り方、試料採取の方法について
前歯や笑うと見える小臼歯部までのセラミクスを使用した審美修復を行うに際しては、歯にぴったりとフィットしていることはもちろんの事、患者様ご自身のお口の中の歯の色とマッチしていなければなりません。
当院ではおそらく、他の歯科医院様と同様に患者様のセラミクスを使用した修復物の色合わせには歯科技工士の立会いの下、歯科技工士が自ら一眼レフのデジタルカメラを用い、歯の色見本(シェードガイドといいます)を対象となる修復物の周辺に写し込んで技工作業の参考としています。
しかし写真を参考にすることがすべてよいとは限らない事態もあると思います
理想的には一回の色合わせでお口の中の患者様ご自身の歯の色とマッチすればよいのですが不満足であれば調和するまで試適、調製を繰り返し行います。
一例を示します
その1
当初、左上顎の黒く変色した側切歯(わきの前歯)の再修復がご希望でした
古い修復物を外し仮の歯(テンポラリィークラウン)を装着しました
最終修復物となるはずでしたが、歯の母体の色に配慮を欠いたため暗い色彩となっています
右側のわきの歯(側切歯)の色彩とずいぶん異なっています
その後、上顎左側中切歯の再修復を患者様の希望で行いましたが、今度は深みの無い単一な「白色」の色彩となってしまいました
テクニシャンとのコミュニケーションを幾度も重ね最終修復物(ファイナルレストレーション)を装着しました
患者様には予定の治療のための来院回数が増えてしまい、ご迷惑を掛けました
色合わせ(シェードテイキング)の情報伝えるために、一眼レフの解像度の高いデジタルカメラを使用した客観的な資料を提供できたとしても色彩を再現するには高度な技術が必要です
歯の切削量を多くすれば色彩の再現は容易になりますが、限られた条件の中で色彩の再現をするためにはより高い技術も必要です
その2
患者様は上顎右側中切歯の変色を気にされ来院されました
形態修正を行いウオーキングブリーチを行いましたが十分な漂白効果が得られずオールセラックによる歯冠修復を行いました
片側の中切歯のみの審美修復は他の前歯の色彩とマッチさせるのが非常に難しく思います
これが反対側の中切歯を含む数歯の審美修復になるとお口の中の残っているご自身のノンカリエスの天然歯にマッチさせることがより容易になると思います
テクニシャンの方に正確な歯の色彩の情報を伝えるためにテクニシャンの立会いの下、高解像度の一眼レフのデジタルカメラで撮影しても歯の色彩を再現するには高度の技術とセンスが必要であることには変わりはありません
今後は装着時にも修復物を調製した歯科技工士の方にも立ち会ってもらうことも考えています
再現された歯の色彩に責任を持ってもらいたいからです
久野歯科医院
院長 久野昌士